Gitは、プログラミングやシステム開発において欠かせない
「バージョン管理システム」 の一つです。
ファイルの変更履歴を記録し、過去の状態に戻すことができたり、
複数人で同時に作業できたりするため、世界中の開発者に利用されています。
特にチーム開発では、
「誰が・いつ・どのような変更を加えたか」を明確にできるため、
効率的で安全な共同作業を実現します。
さらに、Gitは単なるツールにとどまらず、
GitHub や GitLab などのサービスと組み合わせることで、
リモートでのコード共有やレビューが容易になり、
現代の開発現場における 標準的なワークフローの基盤 となっています。
これから開発を学ぶ初心者にとっても、
最初に身につけるべき基本スキルのひとつ です。
Gitとは?
Gitは、ソースコードやファイルの変更履歴を管理するためのツールです。
開発者が行った作業を一つひとつ記録し、必要に応じて過去の状態に戻したり、複数人で同時に編集しても衝突を解決できるようにします。
現在では、個人の学習から大規模なチーム開発まで幅広く利用され、ソフトウェア開発の標準的な仕組みとして世界中で使われています。
その仕組みや背景を理解すると、なぜ多くの開発現場で必須となっているのかが見えてきます。
Gitとは:バージョン管理システム
バージョン管理システムとは、ファイルの変更履歴を管理する仕組みのことです。
プログラムのソースコードはもちろん、ドキュメントや設定ファイルなども対象にできます。
- いつ変更されたのか
- 誰が変更したのか
- どのように変更されたのか
これらを記録し、過去の状態に戻したり、複数人で同時に作業しても衝突を最小限に抑えられるのが特徴です。
WordやExcelの「上書き保存」と違い、履歴を積み重ねていくイメージです。
Gitが開発された背景(Linus TorvaldsとLinux開発)
Gitは、Linuxカーネルの開発を効率化するために2005年にLinus Torvalds氏によって開発されました。
当時、Linuxは世界中の開発者が参加する巨大プロジェクトであり、ソースコードを管理するための仕組みが不可欠でした。既存の集中型バージョン管理ツールでは限界があり、分散型でスピードが速く、信頼性が高い仕組みが求められました。
この背景から誕生したGitは、今やLinux開発だけでなく、あらゆるソフトウェア開発に利用される世界標準のツールとなっています。
他のバージョン管理(SVNなど)との違い
Gitが登場する以前は、Subversion(SVN)やCVSといった集中型バージョン管理システムが主流でした。
- 集中型(SVNなど)
- 変更履歴はサーバーで一元管理
- ネットワーク接続が必須
- サーバー障害に弱い
- 分散型(Git)
- 各開発者のPCに完全な履歴を保持
- ネットワークがなくても作業可能
- サーバーが壊れても復旧が容易
この違いにより、Gitは高速・柔軟・信頼性が高いという特徴を持ち、今ではバージョン管理のデファクトスタンダードとなっています。
Gitを使うメリット
Gitが広く利用されているのは、単なる「履歴管理ツール」以上の価値があるからです。
開発者一人ひとりの作業を正確に記録し、効率よく共有できる仕組みを備えているため、個人開発から大規模プロジェクトまで欠かせない存在となっています。
ここでは、Gitを使うことで得られる代表的なメリットを紹介します。
Gitとは:変更履歴を簡単に管理できる
Gitでは、ファイルの変更内容をコミット(commit)という単位で保存します。
これにより「いつ・誰が・何を変更したか」が明確になり、過去の状態に戻すことも簡単です。
たとえば、プログラムを修正して不具合が発生した場合でも、数回前の状態に戻すことで安全にやり直せます。
個人開発では安心して試行錯誤でき、チーム開発では責任の所在や作業内容を明確にできるのが大きな利点です。
チームで同時に作業できる
Gitの最大の特徴のひとつが、複数人で同時に作業できることです。
- 各メンバーが自分のブランチで作業できる
- 完成したらメインのコードにマージ(統合)できる
- 変更が重なってもコンフリクトを解決して取り込める
これにより、同じファイルを扱っても効率的に開発を進めることができます。特に規模の大きいプロジェクトでは、チーム開発の基盤として欠かせません。
分散型ならではの柔軟性とバックアップ性
Gitは分散型バージョン管理システムです。これは、各開発者のPCに完全な履歴(リポジトリ)が保存される仕組みを意味します。
そのため:
- ネットワークに接続していなくても履歴を参照したりコミットできる
- 万が一サーバーが壊れても、ローカルの履歴から復元できる
- クラウドサービス(GitHubなど)と連携すればさらに安全
集中型の管理システムに比べて、Gitは柔軟性・安全性・速度の面で優れており、世界的に標準となった理由もここにあります。
GitとGitHub/GitLab/Bitbucketの違い
Gitを学び始めた人がよく戸惑うのが、GitとGitHubの関係です。
名前が似ているため同じものと考えられがちですが、実際にはまったく別の役割を持っています。
ここでは、ツールとしてのGitと、それを活用するためのクラウドサービスの違いを整理します。
Gitはツール、他はサービス
- Git:ソースコードの変更履歴を管理する「バージョン管理ツール」
- GitHub/GitLab/Bitbucket:Gitで管理されたコードをインターネット上で共有できる「クラウドサービス」
Gitはツール、GitHub/GitLab/Bitbucketは“置き場所(ホスティング)”です。リモートを使うときは git remote でURLを登録し、既存プロジェクトは git clone で取得します。以後は git push と git pull で日々の同期を行います。
つまり、GitはPCにインストールして使うソフトウェアであり、GitHubはその履歴やコードをオンラインで保存・公開・共有する場所です。
クラウド型サービスを使うメリット
Git自体はローカル環境だけでも利用できますが、クラウドサービスを組み合わせることで開発の幅が広がります。
- コードを安全にバックアップできる
- 複数人で同時に開発できる(プルリクエスト、レビュー機能)
- 公開/非公開のプロジェクト管理が可能
- CI/CDなどの自動化機能と連携できる
これにより、チーム開発だけでなく個人開発でもクラウドサービスを利用するケースが増えています。
学習者が混同しやすいポイント
初心者がよく混乱するのは次のような点です。
- 「GitHub = Git」だと思ってしまう
- GitHubアカウントを作っただけでは「Gitを使える」ことにはならない
- Gitコマンドを理解していないと、クラウドサービスを十分に活用できない
学習のステップとしては、まずGitの基本操作(init, add, commit, push など)を理解し、その後でGitHubやGitLabを使ったチーム開発の流れを学ぶのが効率的です。
Gitの基本的な使い方
Gitを理解したら、実際に使ってみるのが一番の近道です。ここでは、インストールから初期設定、基本的な操作の流れ、そしてチーム開発でのブランチ活用までをシンプルに紹介します。
インストールと初期設定(config, SSH設定)
まずはGitをPCにインストールします。LinuxやmacOSではパッケージマネージャー(apt, yum, brewなど)を利用し、Windowsでは公式インストーラから導入できます。
インストール後は、ユーザー情報を設定しておきましょう。
git config --global user.name "Your Name"
git config --global user.email "you@example.com"
さらにGitHubなどのリモートサービスを利用する場合は、SSHキーの設定を行っておくと認証がスムーズになります。
基本的な流れ(init → add → commit → push → pull)
Gitでの作業は大きく以下の流れになります。
- リポジトリを作成
git init
既存のプロジェクトを管理対象にする場合や、リモートから取得するときはgit cloneを使用します。 - 変更をステージング
git add ファイル名 - 変更を記録(コミット)
git commit -m "メッセージ" - リモートに送信
git push origin main - 最新の変更を取得
git pull
この一連の流れを覚えることで、基本的な作業はひととおりこなせます。
なお、“取得のみ”で安全に差分を確認したい場合は git fetch が便利です。
チーム開発の基本フロー(branch, mergeの利用)
チームで開発する際は、ブランチを使って作業を分担します。
- 新しい機能を作るときは、メインブランチから作業用ブランチを作成
git checkout -b feature/new-function - 作業が終わったらメインブランチにマージ
git checkout main && git merge feature/new-function
並行作業は git branch で枝分かれさせ、統合は基本 git merge。履歴をきれいにしたい場合は git rebase も選択肢ですが、共有ブランチでは注意が必要です。特定のコミットだけ取り込みたいときは git cherry-pick が実用的です。
これにより、開発途中のコードをメインに影響させずに進められます。
複数人が同時に作業しても、Gitが差分を管理してくれるため効率的に統合できます。
ブランチ運用を活用することで、安全で効率的なチーム開発が実現できます。
最低限覚えるべきGitコマンド一覧
Gitには数多くのコマンドがありますが、最初からすべてを覚える必要はありません。
ここでは、初心者が開発を始める際に最低限知っておくべきコマンドを整理しました。
init / clone(リポジトリを作る・コピーする)
- init:新しくリポジトリを作成
git init既存のディレクトリをGit管理下に置くときに使用します。 - clone:既存のリポジトリをコピー
git clone https://github.com/user/repo.gitGitHubなどリモートにあるリポジトリを手元に複製できます。
add / commit(変更を記録する)
- add:変更をステージに追加
git add ファイル名 git add . # すべての変更を追加 - commit:ステージされた変更を履歴に保存
git commit -m "変更内容の説明"
これで「誰が・何を・いつ」変更したかが履歴として記録されます。
push / pull(リモートとやり取りする)
- push:ローカルの変更をリモートに送信
git push origin main - pull:リモートの変更を取得して統合
git pull origin main
他のメンバーと作業を共有するための基本コマンドです。
branch / merge / rebase(複数人開発の必須コマンド)
- branch:作業用の枝(ブランチ)を作成
git branch feature/login git checkout feature/login - merge:ブランチを統合
git checkout main git merge feature/login - rebase:ブランチの基点を付け替える
git checkout feature/login git rebase main
mergeとrebaseはどちらも統合のために使われますが、履歴の残し方に違いがあります。
log / diff / status(履歴や状態を確認する)
- status:作業中の状態を確認
git status - diff:変更内容を確認
git diff - log:コミット履歴を表示
git log --oneline
これらを活用することで、自分やチームの作業状況を常に把握できます。
よくある疑問(Q&A形式)
Q. GitとGitHubどちらを学べばいい?
まず学ぶべきはGitそのものです。
Gitはローカル環境で動くツールであり、ファイルの変更履歴を管理する基本的な仕組みを理解することが最優先です。
そのうえで、コード共有やチーム開発を行う際にGitHubやGitLabといったサービスを使うと便利になります。
つまり、Gitを理解した上でクラウドサービスを活用するという流れが正しい学習ステップです。
Q. GUIツールとCUIどちらを使うべき?
結論から言えば、両方使えると便利です。
- CUI(コマンドライン)
- 学習コストは少し高いが、動作が軽く細かい操作が可能
- 初心者でも基本コマンドだけ覚えれば十分使える
- GUI(SourceTree, GitHub Desktopなど)
- 視覚的に履歴やブランチを確認できる
- 直感的に操作できるのでエントリーしやすい
学習の初期段階ではGUIを使って慣れつつ、並行してCUIの基本コマンドを覚えるのがおすすめです。
Q. プログラミング知識がなくても使える?
はい、プログラミング知識がなくても使えます。
Gitはあくまで「ファイルの履歴を管理する仕組み」なので、ソースコードだけでなくドキュメントや設定ファイル、記事原稿などの管理にも使えます。
ただし、開発現場で活用する場合はプログラミングと組み合わせるのが一般的です。
そのため、まずは「ファイルの履歴を残せる便利なツール」として触ってみると、自然に仕組みを理解できるでしょう。
まとめ:Gitを学ぶ第一歩
Gitは、ファイルの変更履歴を管理するためのツールであり、現代のソフトウェア開発においては欠かせない存在です。特にチーム開発では、誰がどのような変更を行ったかを明確にし、安全かつ効率的に共同作業を進めるための必須スキルとなっています。
さらに、GitHubやGitLabといったクラウドサービスと組み合わせることで、コードの共有・レビュー・自動化など、より実践的で便利な開発環境を整えることができます。
最初の一歩としては、最低限のコマンドを覚えて、実際に触れてみることが重要です。実際に手を動かして試行錯誤する中で、Gitの仕組みや便利さを体感でき、自然と理解が深まっていくでしょう。
関連記事・参考リンク
Gitの基本を理解したら、さらに深掘りして学ぶことで実務に役立てられます。以下に関連記事と公式リファレンスをまとめました。
bashdo.com 内の詳細記事
- Gitコマンド一覧(索引)
- よく使う基礎:git status / git diff / git log / git tag / git switch / git checkout
- git rebase と merge の違い
- git commitの取り消し方法
公式リファレンス
初心者のうちは基本コマンドを中心に学び、慣れてきたら上記の資料を参照して理解を深めていくと効率的です。

