Bash(Bourne Again SHell)は、LinuxやUnixシステムで広く使用されているシェルの一つです。シェルはユーザーがOSと対話するためのインターフェースであり、コマンド入力や自動化スクリプトの作成に用いられます。このチュートリアルでは、Bashを初めて触る方を対象に、基本的なコマンドの使い方やシンプルなスクリプトの作成方法について解説します。
Bashの基礎
まずは、Bashがどのように機能するのかを理解しましょう。Bashはコマンドラインインターフェース(CLI)を提供し、ユーザーは直接コマンドを入力して実行します。また、Bashスクリプトを作成することで、複数のコマンドをファイルにまとめ、一度の入力で実行することができます。
コマンドの実行
コマンドラインで最初に試してみるべき基本コマンドをいくつか紹介します。ターミナルを開いて、それぞれのコマンドを試してみましょう。
-
pwd
:現在の作業ディレクトリを表示します。 -
ls
:現在のディレクトリ内のファイルやディレクトリを一覧表示します。オプションで-l
を付けると詳細情報が確認できます。 -
cd ディレクトリ名
:指定したディレクトリに移動します。..
で親ディレクトリに移動できます。 -
mkdir ディレクトリ名
:新しいディレクトリを作成します。 -
touch ファイル名
:空の新しいファイルを作成します。 -
rm ファイル名
:指定したファイルを削除します。-r
を付けるとディレクトリを再帰的に削除できますが、注意が必要です。
ファイル操作コマンド
ファイルを操作するための便利なコマンドも紹介します。
-
cp 元ファイル 先ファイル
:ファイルをコピーします。 -
mv 元ファイル 先ファイル
:ファイルを移動または名前変更します。 -
cat ファイル名
:ファイルの内容を表示します。 -
nano ファイル名
:簡単なテキストエディタであるNanoを使ってファイルを編集します。
Bashスクリプトの基本
Bashスクリプトは、一連のコマンドをテキストファイルで記述し、自動化したり定期実行したりする際に非常に役立ちます。基本的なスクリプトの作成と実行方法を学びましょう。
スクリプトの作成
まず、スクリプトファイルを作成してみます。以下の手順で最初のBashスクリプトを書いてみましょう。
-
新しいファイルを作成します。例えば、
hello.sh
。touch hello.sh
-
ファイルをテキストエディタで開きます。
nano hello.sh
-
以下の内容をファイルに書き込みます。
#!/bin/bash echo "Hello, World!"
ここで
#!/bin/bash
はシェバングと呼ばれ、スクリプトがBashで実行されることを指定しています。 -
ファイルを保存してNanoを終了します(Ctrl + X、Yで保存、Enterで閉じる)。
スクリプトの実行
スクリプトを実行する前に、実行可能にする必要があります。
- スクリプトの実行権限を変更します。
chmod +x hello.sh
- スクリプトを実行します。
./hello.sh
正しく設定されていれば「Hello, World!」と表示されます。
変数と条件分岐
Bashスクリプト内で変数を使用することで、実行するコマンドに柔軟性を持たせることができます。また、条件分岐を使用すると状況に応じた処理が可能です。
変数の使用
変数は=
を使用して代入し、$
で参照します。例えば:
#!/bin/bash
message="Hello, Bash!"
echo $message
条件分岐の使用
条件分岐はif
文を使用して記述します。以下は簡単な例です:
#!/bin/bash
num=10
if [ $num -eq 10 ]; then
echo "Number is 10!"
else
echo "Number is not 10."
fi
-eq
は整数を比較するための演算子です。他にも-lt
(小さい)、-gt
(大きい)などがあります。
繰り返し処理
複数回同じ処理を繰り返したい場合、ループを使用します。代表的なループとしてfor
ループ、while
ループがあります。
forループの基本
リストの要素を一つずつ処理するfor
ループの例です。
#!/bin/bash
for i in 1 2 3 4 5; do
echo $i
done
このスクリプトは1から5までの数値を順番に表示します。
whileループの基本
条件が満たされるまで繰り返されるwhile
ループの例です。
#!/bin/bash
count=1
while [ $count -le 5 ]; do
echo $count
((count++))
done
このスクリプトでは、カウントが5以下の間、カウントを表示し続けます。
エラー処理
Bashスクリプトでは予期しないエラーが発生することがあります。エラーを適切に処理することは、スクリプトの信頼性を高めるために不可欠です。
簡単なエラーハンドリング
set -e
をスクリプトの先頭に追加すると、エラーが発生した時点でスクリプトの実行が停止します。
#!/bin/bash
set -e
command_that_might_fail
echo "If this prints, it means the previous command was successful."
おわりに
これでBashの基本的な使い方やスクリプトの作成についての理解が深まったと思います。Bashスクリプトは非常に強力で、日常業務の効率化やシステム管理の自動化に役立ちます。さまざまなコマンドやスクリプトを書き、自分に合ったカスタムツールを作成してみてください。Bashのさらなる学習に向けて、シェルスクリプトの良書やオンラインのチュートリアルを試してみるのも良いでしょう。Happy Scripting!
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